フレーミングとアンカリング 交渉の要諦

アンカリング

"Anker" by ThomasKohler is licensed under CC BY 2.0

 

フレーミングと、アンカリングという言葉をご存知の方は、ディベートの達人かもしれない。

 

フレーミングとはあらかじめ議論の内容に型をはめることであり、一定の視点、視野に相手をはめ込むことを言う。例えば、「本日の議題はこのデータ分析する事です。データの期間は、直近の3年間です。」と言うようなものである。
アンカリングはこちらのスタンスを示すことで、交渉を有利にする手法の一つだ。北朝鮮の瀬戸際外交などは、アンカリングの例と言える。

 

次回取り上げるつもりだが、グラフの意図的なデータ軸の取り方も、フレーミングの一種といえる。縦軸を0から始めるのではなく、10,000から初めてあまり差がないように見せるとか、対数軸にして差の見かけを小さくするとか言うようなものだ。甚だしいのは、自分に都合の悪いサンプルを外す事(韓国の感染者数グラフとか)も存在する。

 

フレーミングはこちらが議論したくない方向に移って行かないように、相手を枠にはめる事だ。フレームの外を見せないためと言える。

 

アンカリングは、こちらのスタンスを出してBATNA (Best Alternative Than Negotiation Agreement)はここだと言う提示を先にすることを言う。
BATNAを決めておくことは、交渉を行う上で極めて重要だ。
それを最初にアンカリングとして出すのかはともかく、最低限どこまで譲歩可能かを内部で決めておく必要は絶対にある。

 

私の知っている相手で今までで最も手強かったのは、英語しか話さない相手で最初から強硬なアンカリングを出して、Good MAN / Bad MAN Approachを仕掛けてきた連中だった。
Good MAN / Bad MAN Approachというのは、強面で強く押し出すBad MANと、こちらに融和的なGood MANが出てきて、Good MANが向こうに有利な落とし所を提示してくるという交渉でよくあるヤツだ。
まぁ、向こうさんはこちらを舐め切って出てきたわけだ。

 

その時私は相手のアンカリングを拒否して、一度席を立つ手に出た。
向こうのGood MANが追いかけてくることを見越したのだ。
案の定Good MANが追いかけてきて、妥協案①を提示してきた。
それに対してこちらのアンカリングを提示して、最終的にお互いに不満は残るが妥当な線、妥協案②に落ち着いた。

 

もちろんいつも席を立つ事が、いつでも正しいわけではない。
だが相手が提示してきたアンカリングは、あまりにも公平性を欠いていた。
これなら最悪民事訴訟になっても、このような条件を出してきたという状況証拠になり、相手を最初から「不公正な相手」呼ばわりする事が可能だと踏んだので席を立ったのだ。

 

交渉ごとは全体像を見ながら、最悪の場合を考えたBATNAの設定次第とも言える。

 

フレーミングも、アンカリングも、BATNA設定が大前提なのだ。
そんな事を人の議論を横で聞いていて、ふと思い出した。