洋の東西を問わず、一説にはメソポタミアを発祥として東西に流れた「西洋占星術」と「東洋占星術」を主な流派としています。
それ以外にもヒンドゥー僧に伝わるインド数秘術、エジプトの暦、南北アメリカ大陸で発達した暦と霊感によるものなど、人間の営みと密接に関連しています。
私はこれらの「占い」の中に「部分に分けた観察に基づく科学的な要素」と、「全体の観察に基づくホリスティックな要素」を見ます。もともとこれらの「占い」とされるものは、当時の科学的思考の産物だからです。
例えばメソポタミアでは国や文明の盛衰までも「占い」を通して判断していたらしいと、ギリシャの哲学者が記載しています。
私は以前お話ししたように、仏教や所謂「占い」とされるものを「古典」として学問の対象と見るので、そこに法則性やなぜそのように判断するのかの規則性を重要視しています。
例えば地球の自転軸は2万5800年の周期で少しずつ動いて居ることが知られていますが、これも中国古典で「三元九運説」や、「二元八運説」で述べられています。それに従って色々なことが起こるとされ、それも理論立てて説明されます。一つの説明モデルであるわけです。
「易経」は陰陽の二値の6つ組み合わせて、世界を因数分解しようとする試みと見ることができます。すなわち「易経」は、太極から陰陽で三段階に分離した8つの象徴としての八卦で、様々な事象を 読み解こうとする試みです。元々は、亀甲占いとされます。 右か左か二択で迷った時や、自分が置かれている現在の情勢を分析するのに長けています。純粋に占いとして、国家の盛衰や個人の一生の流れや病気の原因(病占)を 占うこともできますが、死期を占う事は禁非とされます。 この8つの象徴(八卦)は、陰陽で表される3つの指標で表されます。 陰陽は、それぞれ「間が切れた棒(陰)」と、「一本の棒(陽)」で表します。 数字の「六(陰)」「九(陽)」で表す場合もあります。
「易経」は、最初に述べたように八卦の組み合わせで世の中の事象を読む試みですが、 実際には、上下に八卦を組み合わせて、八卦×八卦=六十四通りの事象を構成した 上で、八卦を構成する陰陽の3つの指標から、上下6つの指標の場所でさらに意味を 読み取ります。したがって、実際には「8 x 8 x 6 = 384」通り(正確には、多爻変があるので4032通りある。ここでは、簡便法で384通りとする。)の意味づけをします。
六十四通りの意味だけで見てしまうと大きく間違いますので、要注意です。
それぞれの六十四の象は、意味を持っています。その中で、6つの爻(こう=八卦の3 つの棒が二段になり、3 x 2 = 6 つの棒が重なっている中で、下から何番目かを指す) のどこの爻にいるのかが極めて重要です。それぞれの爻で、全く異なる意味合いを持つためです。それぞれの位置は、その部分の陰陽を逆転した場合の卦の意味も持ちます。
このように陰陽の6つの組み合わせですが、内部に宿る構造として世の中を解読していきます。カール・グスタフ・ユングは有名なユング心理学の創設者ですが、この「易経」の解説者でもあります。ユングによると、「易経」は「原型」なのだそうです。
「原型」だと言う見方をすれば、「易経」はリスクマネジメントには必要な知識になります。人間は思惑や無意識に突き動かされて行動するからです。
「易経」は今からおよそ3000年ほど前に原型が出来たと考えられています。
日本で言えばまだ縄文時代に成立したことになります。
このような古典の知恵も、リスクマネジメントに通じるものがあるのです。